その四十一 ★中京テレビで火曜夜10時に放送中の『おせん』は、今、和服ファンの間で人気のドラマ。老舗料亭を舞台にした和食グルメ物だが、若女将を演じる蒼井優が素晴らしい。「フラガール」で名だたる映画賞を総なめにし、今やCM女王の優ちゃんだが、ミュージカル「アニー」出身なのはあまり知られていない(アニー役じゃないけど)。5年前のドラマ「高校教師」で悪役!?を演じた優ちゃんに一目惚れしてから5年、「タイガー&ドラゴン」など脇役でも一際光っていた彼女の地上波初主演ドラマとあって、私しゃずーっと楽しみにしていたのだ。 ★原作は「イブニング」に連載中というきくち正太作の漫画。老舗料亭「一升庵」の若女将・半田仙は、重度の天然ボケ&大の飲んべえでありながら、天才的な美的感覚と料理センスを持つ。原作をチラ見してみたところ漫画の「おせん」は、男性誌だけにもう少しグラマーでエロ可愛い感じ。自らを「わっち」と呼ぶなど、やや花魁ぽいイメージもある。そんな浮き世離れしたキャラクターを演じられるのは、天才・蒼井優をおいてほかにいない。飲み過ぎて着物のままで一升瓶抱えて寝てしまっても、朝湯のあとにさらにビールをひっかけたりしても、もんぺで味噌を作ったり、200万円もの信楽焼を抱えてリアカーに乗ったりしても、実に嫌みなく美しい。 ★歴代女将から譲られた着物という設定の大正〜昭和の着物も、本来の料亭の女将というイメージからはほど遠いが、品良く着こなしている。寝間着〜普段着は木綿の着物とアジア系スカーフ、お出かけ着は錦紗&長羽織に駒下駄、お座敷ではお召しや時代掛かった付下げという3パターンだが、古い着物と現代小物などのコーディネートがおせん流。それもそのはず、スタイリストは「オリーブ」が生んだガーリー系ファッションのカリスマ大森仔佑子氏。撫松庵の和装セレクトショップ「so-plus+」のプロデュースを手がけるなど、最近では和装への興味も示しているらしい。根津の「ponia-pon」、原宿の「大江戸和子」、私も愛用する大阪の「居内商店」など有名店が衣装提供しているが、大森氏の私物も多いようだ。 ★身長160CMの優ちゃんだが、裄足らずもめっちゃ可愛い。でもあの髪型であの着付けをして、下品にならないのは彼女ならでは。参考にするのはおすすめだが、真似したいと思わないで頂きたいな。 (梶原志津) |