蘭丸がゆく その二百五 ★クォン・サンウ主演の韓国ドラマ『熱血弁護士パク・テヨン』が面白い。高卒ながら冤罪をはらして有名になった弁護士と、二流大学出身で犯罪者の息子である記者がタッグを組み、無実の弱者を救うべく警察、検察、裁判所を敵にまわす話。政治よりも力を持つ韓国の司法を描いた作品は多いが、いわゆる法廷ものではない。金も力も極端に無いが捨て身で勝って行く2人と、その『真心』に動かされる人々を描くヒューマンドラマで、実話を元に現役記者が脚本を書いているのでリアリティが凄い。 ★パク弁護士は、大量の裁判資料を運ぶのに、ピンクの風呂敷を使っている。韓国ではポジャギと呼ばれるもの。日常用、婚礼用、祭礼用などで呼び方は変わるようだが、日本の風呂敷よりもやや手作り感が強く、パッチワークや刺繍など手仕事を施したものも多いようだ。弁護士が持っているのが何故ピンク色のものなのかは分からないが、こちらは日常使いと言って良いのだろう。 ★日本の弁護士は鞄を持っているイメージだが,実は検事は国から桐の紋が入った紺色の風呂敷が支給され、使っているそうだ。書類を傷つけず持ち歩け、凶器などの証拠品も形状に関係なく包めるのが良いそうで、そのまま裁判で提出したら手ぶらで帰れるというメリットもあるらしい。 ★風呂敷の起源は7世紀の奈良時代、ポジャギは10世紀の高麗時代というから、日本の方が少しw古いのか。風呂敷の語源は、入浴の際の脱衣に使ったという説、『風呂』の語源となった茶の湯に使用されたという説など諸説あるが、銭湯が普及した江戸時代に庶民にも使われるようになったらしいのでまんざら違和感はない。 ★SDGsが叫ばれる前から秘かなブームだった風呂敷も、今はむしろエコバッグにお株を奪われている。しかし、風呂敷はバッグとは実用レベルが違う。掛けたり被ったりもできるし、お洒落なバッグに変身させるアイテムも出て来ている。何より、どんな形の物を運ぶにも安定感がある。先日、一升瓶2本を1枚の風呂敷に包んで運んでいると、その包み方を聞かれた。バッグよりも楽に物が運べるのは言うまでもない。(梶原志津) |