蘭丸がゆく   その二百二十五

★帯を選んで欲しいと言うお客様に縞の帯を出したら『連続した柄は目がチカチカするんでNGです』と言われまして。日本ではストライプでも縦縞は縞、横縞は横段と言いますが、他に千鳥格子や松皮菱もダメ、となって結構悩んだ。洋服でもチカチカするのだろうか。聞きそびれた。

★『海外には着て行き難い紋様がありますよね』というお客様もいらした。『籠目』という柄が『ダビデの星』に似ているというのだ。ユダヤ教の象徴と言われるダビデの星は、イスラエルの国旗にも描かれているので今や見ない日は無いが、ようは六芒星=ヘキサグラムである。一方、籠目はその名の通り、編みかごの目を表現したものだ。また皮肉な事に、ナチスのシンボル『ハーゲンクロイツ』は『網代』に似ているとも。前者はいわゆる鉤十字だが、後者はやはり編み紋様の一つ。笠や団扇に見られる編み模様と言えば分かり易いかな。うーん、そう見えない事もないが、どちらかというと逆卍(まんじ)。和服の柄としてはあまり見た事がないけど。まー線を組み合わせたテキスタイルなので、どこの国にもにも共通するものだが、違うのはユダヤとナチスのシンボルが文字から取ったものに対して、日本のソレは生活の中から生まれた物であると言う事だ。

★私は海外に和服で行った事はない。ファッションと政治や宗教が結びつけられるのはいささか不快だが、敢えて日本人を強調する必要性を感じないからである。いくつかの国であからさまな差別や逆差別を受けた事もあるし。郷に入れば郷に従えと言うしね。

★これが出る頃、世界の情勢はどうなっているか分からないが、SDGsの一つに謳われている差別の無い世界なんて実現出来るのか。イスラエルに対するデモで叫ばれていた『shame on you!』。日本人を含めて、世界中の人々が恥を知れる人間となった時に、日本人として堂々と和服で海外に行ってみたいと考えている。 (梶原志津)